昆虫観察はじめました

都市部で見られる身近な茶色いカメムシ3種 見分けに迷ったらココを確認

Tags: カメムシ, 同定, 見分け方, 都市部, 昆虫観察

都市部やその近郊で昆虫観察を楽しんでいると、様々な種類のカメムシに出会う機会があるかと思います。緑色のカメムシについては以前の記事でご紹介しましたが、茶色いカメムシもまた身近でよく見られる存在です。

一口に「茶色いカメムシ」と言っても、その種類は多岐にわたります。中にはよく似た姿をしている種もおり、図鑑だけでは判断に迷うこともあるかもしれません。この記事では、都市部で特に普通に見られる茶色いカメムシの中から、見分けのポイントを押さえておきたい3種、「クサギカメムシ」「ホシハラビロヘリカメムシ」「チャバネアオカメムシの茶色型」に焦点を当てて、それぞれの特徴と同定方法、そして観察のコツをご紹介いたします。

クサギカメムシの特徴と見分け方

クサギカメムシは、都市部でも非常に普通に見られる大型のカメムシです。体長は13~17ミリメートルほどで、全体的に褐色から暗褐色をしており、独特のずんぐりとした体形をしています。

形態的な特徴

似ている虫との見分け方

クサギカメムシと似ている茶色いカメムシはいくつかいますが、特にホシハラビロヘリカメムシとの見分けが初心者には難しいかもしれません。

生態

クズやフジなどのマメ科植物、またその名の通りクサギなど、非常に多くの植物の葉や茎、果実から汁を吸います。都市部では公園や庭木、街路樹など、様々な場所で見られます。成虫で越冬し、暖かい時期に活発に活動します。刺激すると、独特の強い臭いを放ちます。

ホシハラビロヘリカメムシの特徴と見分け方

ホシハラビロヘリカメムシは、ヘリカメムシ科に属する茶色いカメムシです。体長は14~18ミリメートルほどで、クサギカメムシと同じくらいのサイズですが、体形が異なります。

形態的な特徴

似ている虫との見分け方

生態

マメ科植物(ダイズ、アズキ、クズなど)やタデ科植物(イヌタデなど)を食草とします。都市部ではこれらの植物が生えている場所で見られます。クサギカメムシと同様に成虫で越冬します。刺激すると臭いを出しますが、クサギカメムシほど強くはないと言われます。

チャバネアオカメムシ(茶色型)の特徴と見分け方

チャバネアオカメムシは、名前の通り通常は鮮やかな緑色をしたカメムシです。しかし、秋から冬にかけて気温が下がると体色が褐色に変化する個体がいます。この茶色くなった個体が、他の茶色いカメムシと間違われることがあります。体長は13~16ミリメートルほどで、クサギカメムシやホシハラビロヘリカメムシと同程度のサイズです。

形態的な特徴

似ている虫との見分け方

茶色くなったチャバネアオカメムシは、他の単色の茶色いカメムシと見間違える可能性があります。

生態

非常に様々な植物、特に果樹や野菜、広葉樹などを食草とします。都市部では公園の樹木、庭先の植物、街路樹など、様々な場所で見られます。成虫で越冬するため、秋から春先にかけて茶色くなった個体を見かける機会が多くなります。越冬場所を探して家屋に侵入することもあります。

3種の見分けポイントまとめ

| 特徴 | クサギカメムシ | ホシハラビロヘリカメムシ | チャバネアオカメムシ(茶色型) | | :------------------- | :-------------------------------- | :-------------------------------- | :-------------------------------------- | | 体形 | 幅広くずんぐりとした扁平な体形 | 細長く、やや厚みのある体形 | 典型的な盾形 | | 体色・模様 | 褐色~暗褐色、まだら模様あり、つや消し | 褐色~赤褐色、単調、やや光沢あり | 均一な褐色~赤褐色、単調、やや光沢あり | | 前胸背板の張り出し | 左右に顕著に張り出し、角状 | 左右に張り出すが、クサギほどではなく丸い | あまり張り出さない | | 小楯板の先端 | 丸いが、特徴的な形ではない | 丸いが、特徴的な形ではない | 丸みを帯びる | | 腹部(側面) | 黒と黄白色の帯状模様が交互に入る | 顕著な帯模様なし | 顕著な帯模様なし | | 腹部(裏面) | 特徴的な模様なし | 大きな星形(☆)の黒い斑紋あり | 特徴的な模様なし | | 後脚 | 普通の形状 | 脛節が幅広く平たい | 普通の形状 |

観察のコツと注意点

まとめ

都市部で身近な茶色いカメムシの中から、クサギカメムシ、ホシハラビロヘリカメムシ、チャバネアオカメムシの茶色型という3種の見分け方を中心にご紹介しました。それぞれに体形や模様、体の質感などに特徴があり、注意深く観察すれば区別することができます。

これらのカメムシは、皆さんの身近な場所で普通に見られる昆虫です。この記事を参考に、公園や庭先でカメムシを見かけた際に、どの種類だろうと考えてみるのも楽しいかもしれません。カメムシの世界は奥深く、他にも様々な種類の茶色いカメムシがいます。今回の3種が見分けられるようになったら、他のカメムシにも目を向けてみてはいかがでしょうか。昆虫観察を通して、都市に暮らす小さな生き物たちの多様性を感じていただければ幸いです。